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竹岡晴人のコラム

借地権評価の依頼

(1)先日、大阪市内の土地で戦前に借地契約した土地を地主に返せと言ってきているので、借地権の評価をしてほしいという依頼がありました。見に行きますと戦々の建物ですからもうボロボロです。借地権は建物がなくなると消滅する、と民法に規定がありますのでボロボロの建物の借地人は非常にきわどい所です。権利がなくなるかもしれません。

(2)この場合裁判所がこの建物は朽廃していますよと認定すれば借地権は消滅するんですが、どんなにボロボロの建物でも、屋根と壁があって風雨に耐えている以上裁判所が建物の朽廃認定をすることはない。

(3)戦前、都市は今のように高層化されていませんでしたから大地主は土地を貸して借主はそこに長屋を建てて住んでいました。長屋と言っても若い人にはちょっと解りにくいかもしれませんが、木造平家建のテラスハウスと考えてもらったらいいと思います。街は過密状態でないですから借り手のない土地がいっぱいあって地主は困っていました。

(4)ですから大地主は固定資産税の負担に耐えかねて更地のままほうっておいてる土地を、借りてもらう為にタダでもいいから借りて下さいと、一升ビンをもって頭を下げて回ったんです。ただ土地にかかる税金、固定資産税だけは負担して下さいと言ったんです。さすがにここまですると借主は現れます。こうして大地主は固定資産税の重圧からのがれることができました。

それから80年建って都市は発展し、貸していた土地の周辺は高層マンションだらけになった。そして大地主の子孫が今この土地の返還を求めてきている、というのがこの事件の背景なんです。

借地人に言わせれば昔あなたのおじさんは、私のおじさんに頭を下げて土地を借りて下さいと言ってきたんじゃないか。それを都市化が進んで地価が高くなったからと言っても、それはあなたの努力の結果ではなく日本の発展のたまものじゃないか、土地は返さないと主張します。

地主の子孫が正しいか?借地人の子孫が正しいか?裁判員に指名されたとしたらあなたはどう判断しますか?この件の結末は私が借地権を1億500万で評価し相方がこれで妥協したんですが取り分は地主62%借地人38%でありました。

(5) この事件の借地人の費用は弁護士の手付金だけで300万かかっているんですね。借地返還の争いでこの初期費用をけちる人がいるんです。これをけちると借地人必らず損します。この事件の借地人は気前のいい人だったから1億で借地権を地主に売ることができました。

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